調剤薬局のパートで薬剤師デビュー!未経験はつらい?挫折しないための心得
大学卒業後は、製薬会社などの企業に就職し、結婚・出産などで退職。
「いつかパートで、薬剤師として再就職したい」と思いながら、もう40代・50代。
「薬のことは、すっかり忘れてしまったわ」「就職してもついていけるかしら?」
40代・50代の未経験薬剤師が、せっかく就職しても「やっぱり無理・・・」と挫折しないための心得をお話しします。
目 次
未経験でも、初日からあなたは薬剤師です
薬剤師の求人には、「未経験者歓迎!」を謳っているところも多いです。
それを見て、「薬剤師の免許を持っていれば、それで良い」と思っては大間違いです。
面接のときに、「最低時給からスタートです」と言われて、「未経験で先輩方よりお給料が安いのだから、できなくて当たり前」ではありません。
就職したらその日から、あなたは「薬剤師」です。
現場では専門用語は飛び交います。先輩方の指導はありますが、薬剤師として最低限の知識はもっていて当然です。
例えば、「セフェムはこの辺に置いてあります」と言われても、「セフェムって何でしたっけ?」と聞くわけにもいかず、早速困ってしまいますね。
職場には必ず、薬剤師ではないスタッフがいます。
彼らは、「門前の小僧習わぬ経を読む」で、薬剤師ではなくてもベテランの方はかなり知識があります。
薬剤師なのに知識がないと、立場がなくなって辞めざるを得なくなってしまいます。
まずは、「未経験と言っても、就職したら初日から薬剤師である」という自覚をもつことが大切です。
ブランクがある人は、キャリアに応じて勉強しましょう
ひとくちに、40代・50代の未経験薬剤師と言っても、大学卒業後のキャリアは人それぞれです。
大学卒業後、製薬会社に入社、現在まで正社員として勤務
大学卒業後、製薬会社に勤務、結婚や出産で退職。専業主婦。
大学卒業後、製薬会社以外の会社に勤務した、就職せずに結婚した、などで、薬からまるまる20年以上離れている専業主婦。または、薬と無関係なパート主婦。
製薬会社勤務であれば、特にMRさんなら病院や薬局にも出入りされていたでしょうし、もちろん自社の医薬品の知識はあると思います。業界の変化もご存じでしょう。
問題なのは、大学卒業後薬から離れてしまった40代・50代の未経験薬剤師です。
40代・50代の未経験薬剤師が大学生の頃というのは、院内調剤が当たり前の時代でした。
薬剤師が調剤しているのは総合病院ぐらいで、個人のクリニックでは、事務員さんがピッキングしてお薬を渡していました。
お薬手帳や薬情、薬剤師の服薬指導もありませんでした。調剤薬局もドラックストアも、一般的ではありませんでした。
この20年で医薬分業が進み、薬剤師の業務もすっかり変わってしまいました。
大学卒業後、薬から離れてしまった40代・50代の未経験薬剤師は、やはりパートに出る前に勉強をすることをおススメします。
大学卒業後、何らかの形で薬に関わってきた40代・50代の未経験薬剤師は、キャリアやブランクの長さに合わせて、必要なら勉強するのが良いでしょう。
まず「今日の治療薬」と「添付文書」から
さて、40代・50代の未経験薬剤師がパートに出る前に勉強したいとき、どうすれば良いのでしょうか?
まずは、「今日の治療薬と薬の添付資料は、違和感なく読めるレベルまで慣れる」ことを目標にしましょう。
暗記する必要はありません。まずは、「違和感なく読める」ことが目標です。
今日の治療薬って何?
薬剤師のバイブル的な本です。薬剤師に必要な実践的知識は、この本の解説を読むのがベストです。
毎年出版され、「2017」は、2017年版という意味です。就職すれば、薬局に置いてあるので、毎年自分で購入する必要はありません。
いきなりこれを読んで、違和感なく読めてしまう人は、そのまま中身を勉強していきましょう。
しかし、40代・50代の未経験薬剤師の中には、頭が錆びついてしまって、まったく頭に入らないという方もいるはずです。
でも、「やっぱり無理・・・」と、あきらめるのはまだ早いですよ。
不思議なもので、若い頃に国家試験めざして頑張って覚えたことは、脳の奥深くにしまわれています。読むほどに、大学時代の知識がよみがえってきますから、焦らないでください。
「今日の治療薬」は、大学で学んだ知識が頭に入っている薬剤師が読む本なのです。基礎すら忘れてしまった人には、基礎から復習すれば良いだけです。
薬の添付文書って何?
薬剤師として就職すると、調剤棚の引き出しにはたいてい薬の添付文書が保管されています。分からないことがあったら、それを読んで調べます。
しかし、薬からすっかり離れてしまった上、薬の添付文書を見ること自体が初めての40代・50代の未経験薬剤師は、かなり戸惑います。
パートに出る前に、添付文書の読み方を勉強することをおススメします。
添付文書は、インターネットで「薬名 添付文書」というキーワードで参照できるので、ロキソニンのような身近な薬で慣れて置きましょう。
「今日の治療薬」「添付文書」無理・・・どうすればいいの?
頭が錆びついてしまって、「今日の治療薬」も薬の添付文書も、読むのがツライという方は、もう少しわかりやすい本で勉強することをおススメします。
ありがたいことに、現代では一般の書店ではあまり取り扱いがない専門書も、Amazonなどのネットショップで簡単に手に入ります。
高いとケチなことを言ってはいけません。今の大学生は6年制です。40代・50代の未経験薬剤師の学生時代より、2年も多く学費を払っているのです。
追いつくためには、安い投資と思いましょう。
大学時代の薬理学の復習にはこれ!
まずは、大学時代の薬理学を、ざっと復習しましょう。最初に欲しいのがこの1冊です。
表紙には「医学・薬学関係をめざす人の必読の一冊!」と書かれていますが、(財)日本薬剤師研修センター常任理事の方が監修していて、専門的なことが正確に書かれています。
大学時代の薬理学のテキストのポイントをカラー図解したような内容です。
字が大きくてオールカラーで読みやすいので、勉強からすっかり離れてしまった40代・50代の未経験薬剤師に復習にぴったりです。
薬理学の復習ができて、薬の添付文書が読めるにはこれ!
さらに、薬理学の復習をしながら、添付文書の読み方も勉強したいなら、おススメなのがこの本です。
これならわかる!薬理学(至上最強図解)
丸山敬著(ナツメ社)
医学部の薬理学教室の教授が書かれた本です。内容は本格的ですが、お茶目な先生のお人柄が感じられ、図が多く、医師から見た薬の話がエッセイのように楽しく書かれています。
例題の添付文書がなぜか「バイアグラ」なので、いきなり驚いてしまいますが(笑)。
薬からすっかり離れてしまった40代・50代の未経験薬剤師は、この本から始めるのも良いでしょう。
同じ薬理学教室でも薬学部とは異なり、医学部では診断・治療・患者目線です。医師と薬剤師の視点の違いが興味深く、読み物としても満足できます。
処方箋の読み方、覚えていますか?
処方箋の読み方を大学で習ったことを覚えていますか?40代・50代の未経験薬剤師が学生の頃は、処方箋は手書きでした。
ドイツ語の略称を習ったこと、極量を超えたら医師に確認する、程度の記憶ぐらいしか残っていないのではありませんか?
就職するといきなり現場で処方箋を読んでピッキングです。周りの方は忙しいので、丁寧に教えてくれることは期待できません。
処方箋の読み方はこういうものだ、という知識を少しでも身に付けておくと良いですよ。
初めて処方箋を読むときのポイントが、整理されていてわかりやすい本です。
図解入門 メディカルワークシリーズ よくわかる処方せんの基本と読み方
柳川 忠二著(秀和システム)
研修はないの?
研修アリの会社を紹介してもらいましょう
「自分で地道で勉強するのは、挫折しそう。参加すれば教えてくれる研修はないの?」と考える方もいらっしゃるでしょう。
残念ながら、未経験薬剤師を支援する研修はありません。
薬剤師の研修機関として代表的な組織は、(財)薬剤師研修センターですが、専門的な教育を目的としています。
「未経験者歓迎」を謳っている大手調剤薬局チェーンの中には、入社時に中途採用者向けに研修を行っている会社もあります。
研修を希望される方は、紹介会社のコンサルタントに相談して、研修がある会社を希望すると良いでしょう。
大手調剤薬局の実務研修に参加
そうはいっても、誰もが大手調剤薬局に入社できるわけではありません。大手調剤薬局の中には、受講料を払えば研修を受けさせてくれる会社もあります。
クオール 調剤実技研修では、調剤薬局の業務の流れ、医療保険の制度の講義が受けられます。
座学だけではなく、模擬薬局で処方箋を調剤し、患者さんにお薬を渡す研修ができます。
ちなみにこの研修は、クオールの子会社の人材紹介会社アポプラスメディカルジョブを使うと無料になるキャンペーンがあります。
ご興味があり受講したい方は、申し込み前に確認してみてくださいね。
まとめ
まずは「未経験と言っても、就職したら初日から薬剤師である」という自覚をもつことが大切です。
40代・50代の未経験薬剤師がパートに出る場合、大学卒業後のキャリアやブランクに合わせた自己学習が必要です。
パートに出る前に、まずは「今日の治療薬と薬の添付資料は、違和感なく読めるレベルまで慣れる」ことを目標にしましょう。
薬剤師として一番大切なことは、自己学習を通して「自ら学ぶ姿勢」を身に着けることです。
それこそが「挫折しないための心得」と言えます。
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