かかりつけ薬剤師・薬局がスタート!認定薬剤師は転職に断然有利!
2016年度の調剤報酬改定で初めて「かかりつけ薬局」の概念が提示されました!
この「かかりつけ薬局」になるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。その1つに、薬剤師個人が認定薬剤師である事が挙げられます。
今回は、かかりつけ薬剤師・薬局についての解説と薬剤師転職時に認定薬剤師は有利なのか?高給提示されるのか?などをお話します!
目 次
かかりつけ薬剤師・薬局とは?
2016年度の調剤報酬改定により、かかりつけ薬剤師・薬局の機能が調剤報酬に加えられました。
このかかりつけ薬剤師・薬局というのは、そもそも2015年に厚生労働省から示された「患者のための薬局ビジョン」の具体的なものです。
参考:「患者のための薬局ビジョン」~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ~ を策定しました(厚労省ホームページ)
今までは、病院に受診後、門前にある薬局に処方箋を持参して調剤してもらっていました。
これからは、自宅から身近にある薬局をかかりつけ薬局として、どの病院の処方箋もかかりつけ薬局に持参するイメージです。
このように、
バラバラ(1人の患者さんの処方があちこちに散らばっていた状況)から、1つ(かかりつけの薬局を決めてどの病院の処方箋もかかりつけに持参する)に
このビジョンが、かかりつけ薬剤師・薬局機能です。
かかりつけ薬剤師・薬局に必要な3つの機能
かかりつけ薬剤師・薬局には3つの機能があります。
服薬情報の一元的・継続的把握
・患者さんが受診している医療機関からの処方薬をまとめて管理
・副作用・効果の継続的確認
・多剤併用・重複投薬や相互作用の防止
24時間対応・在宅対応
・開局時間外(夜間・休日・在宅)でも患者さんからの問合せに対応する
・在宅患者への薬学的管理・服薬指導を行う
医療機関等との連携
・疑義照会や処方提案
・副作用や服薬状況のフィードバック
・医療情報連携ネットワークでの情報共有
ポイント
かかりつけ薬剤師・薬局は将来の薬局ビジョンの具現化
かかりつけ薬剤師・薬局になるには条件を満たさないといけない
かかりつけ薬剤師になるための要件とは?
かかりつけ薬剤師には誰でもなれる訳ではありません。要件を満たしてないと申請しても受理されませんので注意しましょう!
かかりつけ薬剤師の要件
保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験がある
同一の保険薬局に週32時間以上勤務している
届出時点において勤務している当該薬局にて6か月以上在籍している
薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得している
医療に係わる地域の活動に参画している(地域の行政機関や関係団体等が主催する講演会、研修会等への参加や公演等の実績)
保険薬剤師とは
保険医療に関わる業務を行う薬剤師のことを保険薬剤師といいます。
保険薬剤師となるためには、勤務先の管轄の厚生局にて登録手続きを行います。登録を行うと「保険薬剤師登録票」が付与され、その登録票によって保険薬剤師であることが証明されます。
※もちろん登録手続き費用は無料です。
参照:保険医・保険薬剤師の登録等に関する申請・届出(関東信越厚生局ホームページ)
かかりつけ薬剤師だと薬局経営的にはどうなの?
処方箋の調剤報酬は、基本的に「調剤技術料 + 薬学管理料 + 薬材料 + 医療材料費」で構成されています。
この中の薬学管理料に薬剤服薬管理指導料や乳幼児服薬加算などがあり、2016年度の調剤報酬改定では、かかりつけ薬剤師と一般薬局の薬剤師とで1枚の処方箋受付に対して点数が個別に定められました。
この調剤報酬一覧表(抜粋)にあるように、処方箋1枚の受付に対して
かかりつけ薬剤師が行うと⇒70点/枚
一般の薬剤師が行うと⇒50点又は38点/枚
と定められました。
単純に薬学管理料のみを円に換算して計算し比較すると、
1ヶ月の処方箋受付数が1,000枚の場合
50点:(700円×1,000枚)-(500円×1,000枚)=20万円アップ
38点:(700円×1,000枚)-(380点×1,000枚)=32万円アップ
1ヶ月の処方箋受付数が2,000枚の場合
40万〜64万円のアップ
となります。小さな薬局での1ヶ月平均処方箋枚数を1,000枚、中規模薬局で2,000枚と考えると、かかりつけ薬剤師がいると約1人分の薬剤師の月収が上乗せされる計算となりますね。
薬局にとってかかりつけ薬剤師が在籍しているは薬局経営の安定に直結してくるのです!
ポイント
一般薬局の薬剤師による薬剤服薬管理指導料の点数は、処方箋受付1回につき38点又は50点
かかりつけ薬剤師による薬剤服薬管理指導料の点数は、処方箋受付1回につき70点
一般薬局とかかりつけ薬局とではかかりつけ薬局の方が処方箋単価が高い!
かかりつけ薬局の方が経営的に安定する!
認定薬剤師にはどうやってなるの?
かかりつけ薬剤師の要件の1つである薬剤師認定制度認証機能が認証している研修認定とはどういったものなのでしょうか。
まず、薬剤師認定制度認証機能とは、CPCという機関です。薬剤師の各種生涯学習や認定制度を第三者的に評価する機能を持っています。
認定薬剤師制度には、大きく分けて3種類あり、①生涯研修認定制度、②特定領域認定制度、③専門薬剤師認定制度があります。
2016年の調剤報酬改定に対するかかりつけ薬剤師に必要な認定は①の生涯研修認定制度のことです。
認定薬剤師取得の流れ
①認定薬剤師.comのホームページで取得のフローを確認する
②単位シールを貼るための薬剤師研修手帳を購入する
申し込み先:公益財団法人日本薬剤師研修センター、一般社団法人日本女性薬剤師会 事務局など
③研修を受講し受講証明(単位シール)を集める
④薬剤師研修手帳に単位(シール)を薬剤師研修手帳に貼付
⑤新規に認定の場合:4年以内に40単位(毎年5単位)以上取得
更新の場合:3年間で30単位(毎年5単位)以上取得
⇒認定手数料を振込み、申請書と研修手帳を提出
⑥認定証が交付
という流れです。
単位シールをもらうには、認定制度が実施されている機関の講義を聞きに行ったり、講習会に参加する必要があります。学習結果としてその都度単位シールが付与されます。
また、自宅で空いた時間に学べるe-learningもあります。
e-learningの種類
・「メディカルナレッジ」特定非営利活動法人 医療教育研究所
・「MPラーニング」株式会社MDPS MPラーニング運営委員会 事務局
・「ファーマスリーム」財団法人日本薬剤師研修センター
・「JP learning Ⅱ」日本調剤薬局監修
認定薬剤師が転職活動時にアピールすべきこととは?
以前から薬剤師認定制度認証機構が認証している認定薬剤師制度はありました。
しかし、2016年度の調剤報酬にかかりつけ薬剤師・薬局の機能が追加されたことになり、急に認定薬剤師が増えてきました。
今までは薬剤師転職の際に認定薬剤師の有無は話題にも挙がらないという日陰の存在でした。
過去の転職活動ではコミュニケーション能力や丁寧な接遇、清潔感などが重視されていたからです。
しかし、これから「認定薬剤師」は転職市場において重要な指標になるでしょう。薬局の生き残りのためには、かかりつけ薬局の方が経営的に安定するからです。
経営が安定して初めて薬剤師の給料も無理なく高く設定できますよね。
もし、転職先にかかりつけ薬局を希望する場合は、従来通りのコミュニケーション能力や丁寧な接遇面だけでなく、認定薬剤師であることをアピールしましょう!
この認定薬剤師を取得している薬剤師は経営者側からすると喉から手がでるほどに欲しい人材なのです。
認定薬剤師のメリット
調剤報酬の改定で認定薬剤師が急に増え始めている今、認定薬剤師の転職は市場的に有利な時期
在職中の薬局でかかりつけ薬剤師となっても給料に反映されることはないが、転職では今までの経験プラスかかりつけ薬剤師候補者として高給提示される可能性大
しかし、高給提示がなされる可能性が高い一方、デメリットもあります。
かかりつけ薬局で働くデメリット
かかりつけ薬局は要件である24時間体制・在宅対応が必要なので、今までの業務に比べて負担が増える可能性がある
女性が多い職場なのでプライベートの時間との住み分けをきっちりできる会社でないと、転職してお給料には満足しても「想像と違った!」という事態になりかねません。
この辺りは、会社の運営能力にかかっています。かかりつけ薬局が無理なく自然にできる環境が整っているか?従業員間で協力できる体制が整っているか?などの薬局全体の協力体制が重要なポイントとなるでしょう。
24時間体制・在宅対応について
24時間体制とはいっても24時間営業のコンビニの様に薬局を開けるわけではありません。薬局の開局時間終了後は緊急連絡用の携帯やスマホを交代で管理することになるでしょう。
その辺りを面接時に聞いたり見学させてもらって、自分の生活や将来のキャリアイメージに落とし込んでじっくり考える必要があるでしょう。
ポイント
転職時には認定薬剤師の資格を持っていることをアピール
かかりつけ薬剤師は薬局経営に実質的に貢献できることを理解しておく
認定薬剤師の過渡期である今は有利な条件で転職できる!高給提示している薬局も!
かかりつけ薬局の要件が自分のイメージと異ならないか?注意も必要!
認定薬剤師におススメの転職サイトとは?
認定薬剤師というキーワードで転職活動を行う際には、薬局業界の流れや方向性を熟知している転職サイトがよいでしょう。
特にかかりつけ薬剤師・薬局機能に関しては業界的に過渡期なので正確な情報が転職活動の成功に左右します。
そのため、業界動向や企業側ニーズ情報を早く収集・分析して転職サポートができるファルマスタッフと薬キャリをおススメします!
「ファルマスタッフ」は、日本調剤薬局グループの傘下にある転職サイトです。
日本調剤グループでは、認定薬剤師に必要な単位が習得できる「JP learning Ⅱ」というe-learningも監修しています。かなり認定薬剤師教育には積極的なことが分かります。

また、「薬キャリ」は業界最大手の転職サイトでリアルタイムな求人情報が豊富です。業界の方向性に合わせて求職者に適格な求人情報が提供できるシステムが揃っています!
認定薬剤師をお持ちの薬剤師で転職サイト選びに迷ったらこの2社のサイトに登録をすることをおススメします。認定薬剤師を優遇してくれる企業へ転職することが出来るでしょう!
まとめ
かかりつけ薬剤師・薬局機能が調剤報酬に加えられ、かかりつけ薬剤師による指導は処方箋受付1回に対して70点となりました。
かかりつけ薬剤師でない一般薬剤師からの指導は38点・50点なので同じ服薬指導を行っても高く評価されます。
今後、かかりつけ薬剤師・薬局に対して積極的な薬局とそうでない薬局とでは、経営面でも地域参画においても差が出てくるでしょう。
一方、国の将来の薬局ビジョンに沿うことは患者さんにも薬局経営にもメリットがある反面、24時間の相談体制という要件があるため、女性の多い調剤薬局にはデメリットにもなります。
どうやって従業員のプライベート時間を確保しつつかかりつけ薬局の機能を維持するか?この辺りの環境作りが上手な会社に薬剤師が殺到するのではないかと言われています。
ファルマスタッフや薬キャリなどの転職サイトへ登録して、かかりつけ薬局を無理なく運営できる調剤薬局への転職に活用してくださいね!
ポイント
かかりつけ薬剤師・薬局は今後の地域包括ケアの重要な役割を担う
かかりつけ薬剤師・薬局になるためには要件を満たさないといけない
かかりつけ薬剤師の要件の1つである認定薬剤師は取得しておくと転職時に有利!
認定薬剤師の場合は、かかりつけ薬剤師候補者として高給提示される可能性大!
かかりつけ薬局を無理なく運営できる薬局に薬剤師が殺到する可能性あり!


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